夏着物

衣替えの季節!9月は単衣の着物、10月は袷の着物です!

1.秋の衣替えは手入れの意味もある
2.秋の衣替えってどうするの?
3.9月は単衣着物、10月は袷着物

あっという間に秋の衣替えがやってきました。え?めんどくさ!と思うのもごもっとも。9月はまだ単衣の季節ですが、10月までに冬物を用意しておかねばなりません。今回は秋の衣替えのお話を少々致します。

1.秋の衣替えは手入れの意味もある

洋服の生活をしていると、「え?衣替えなんてしないけど」という人も多くなってきました。住宅事情の切迫した現代では、通年着るものを箪笥に入れたままにしておくのも、一つの収納術といえます。着物は畳めばぺたんこになり、箪笥に入れたままにしておくと湿気を吸収し、かびの原因になります。湿気を含んだ衣類は害虫の大好物で、気づいたときには大事な着物に、「虫食い」穴ができている、なんてことにもなりかねません。
秋の衣替えはこれらの虫害を防ぐ意味があります。着物を秋のさわやかな風に晒して、湿気を飛ばしにっくき虫を撃退しましょう。「入れ替えと同時に着物の手入れと点検をする」、それが秋の衣替えです。
筆者は古代史好きでこの時期奈良国立博物館で開催される正倉院展には足繁く通っておりました。正倉院展の開催は膨大な古書類、古衣裳を虫干しするため、秋風の吹く涼しい時期に正倉を開いていたのが、始まりでした。後に宝物を一般に公開することが許され、現在の宝物を展示する正倉院展になっています。
※余談ですが、博物館の学芸員さんの着物畳み術は目を見張るものがあります!
天下の正倉院も虫干しをしているわけですから、日本人ならば秋には衣替えをして、同時に着物の手入れをしておきましょう。

2.秋の衣替えってどうするの?

まずは夏物を片付けることから始めます。絽や紗の単衣着物を箪笥から出して、必要があればクリーニングに出しましょう。単衣着物には汗がつきやすいです。そのため筆者は夏場には家でも洗える着物、ポリエステルや木綿を愛用しています。(礼装は別)

① ホームセンターで防虫剤を買う

ホームセンターやドラッグストアで防虫剤を買っておきましょう。
先に買っておかないと、しんどい衣替え作業のあと、心が折れます。きれいに畳んでしまった後に、「あー!防虫剤入れるの忘れた!!」となると泣きたくなりますよ、ほんと、、、何度もやりましたので、あえてお伝えしておきます。防虫剤は始めに買っておきましょう。

② 夏物(絽・紗)を収納する

夏物を収納します。
空になった箪笥に虫がいないか、汚れはないか、点検しましょう。夏着物と夏帯は同じ収納ケースに入れてあると便利です。夏用の襦袢は秋口にも春先にも着る機会があるので、しまい込むと逆に困ります。半襟だけ付け替えて、かしこく気温の変化に対応しましょう。

③ 冬物(袷)を出す

オフシーズンにしまい込んであった、冬物を出します。10月からは袷着物、裏地のある着物となります。袷着物を出して、室内で半日程度虫干しします。その際、染みや汚れが無いか確認しましょう。礼服は特にしっかりチェックが必要です。3月の卒業式に着る礼服(色無地など)に汚れがあったら、この時点でクリーニングに出せば間に合います。折り皺ができていたら、しっかり干してから畳んで、箪笥にしまって下さい。

④ 冬物を箪笥に収納する

冬物をきれいにたたんで箪笥に納めます。自分で着物を着ない人も、畳み方だけは習得しておくことをおすすめします。たとう紙に防虫剤を挟むのを忘れないようにしてください。


3.9月は単衣着物、10月からは裏地のある袷着物

学校の制服同様、9月は着物の移行期です。透け感の無い単衣着物に帯を身に着けます。透け感の無い単衣着物は6月と9月にしか着られません。9月の単衣着物は暖色系の色目なので、実際の秋物を着る機会は1ヵ月しかないのです。「だったら秋物なんていらない!」と思うのも当然です。9月一月の間に着物をどれほど着る機会があるか、と考えると無理に秋物、透け感の無い暖色系の単衣着物を用意する必要なんか無いですよ!呉服屋さんにすすめられても買わなくていいです。10月になれば本格的な着物の季節、袷着物の季節がやってくるのですから。先日9月の着物教室がありましたが、単衣着物を持っていない生徒さんたちでした。9月半ばの袷着物はやはり暑かったようで、汗をかいて難儀しておられました。私は単衣着物でしたが、それでも暑かったです。そうなると、9月の移行期に着物を着るには、どうしたらいいの?
空調を制御すればいいんです。それだけ、、、

秋は着物に最適な季節です。そのために秋の衣替えは、整理・虫干し・点検をしっかりやっておきましょう。卒業式に着る着物は秋口に点検、必要があればクリーニングに出しておきます。余り枚数を持っていない方が、衣替えは楽に済ませられますよね。

 

暑い!!夏帯の種類と攻略法、傾向と対策

暑いですねーーーーーー!!この暑い中、着物を着る人の気が知れませんよね。私もそう思います。先日は着付け教室へ麻の襦袢に阿波しじらで出かけたのですが、途中で辛抱たまらなくなり、襦袢を脱いで阿波しじらを浴衣にして着てしまいました。(@教室!)半幅帯を持っていなかったので、博多織りの名古屋帯を蝶結びにしました。博多帯は名古屋でもお染仕立てになっていて、手先が半幅に縫われていません。手先から垂れ先までの幅が変わらないので、半幅帯同様に蝶結びにできるかなーとやってみたらできました。蝶の羽の部分が、すごく幅広で豪華に見えましたよ。ですが、夏帯は結びが難しいです。夏帯を結びやすくする方法、無いですかねー?

1.夏帯の種類
2.夏帯の攻略法

2-1.へちまの帯枕
2-2.後ろ板を入れる
2-3.改良枕を使う

3.夏帯使わない?

1. 夏帯とは

夏帯とは6月初め9月初めまで着用する、絽や紗の帯です。単衣着物に合わせる帯です。素材や織り方はいくつかありますが、透け感のある物を夏帯と呼びます。一重仕立てで帯芯が入っていないものが多いです。帯芯入れると、本当に暑いですからね。どう頑張っても着物の帯は体に二重半巻くので、夏場は本当に辛いです。夏のお出かけには絽や紗の名古屋帯、袋帯があれば助かります。羅は高価希少で一般的とは言えません。飛鳥、平安貴族が頭に被っている冠ありますよね?あれが羅織りです。羅の帯には実用性よりも芸術性、美術工芸品としての価値を見い出せます。

2.夏帯攻略法

夏帯は帯芯が無く一重仕立てなので、形が決まりにくくて、締めづらい帯です。一年経って久しぶりに夏帯を結ぼうとすると、きれいに結べず、四苦八苦してしまいます。夏帯を締めるだけで汗だくになってしまうと、出かけるのが嫌になってしまいますよね。暑さに関して着物好きのみなさんは様々な対策を取っておられます。

2-1.へちまの帯枕

へちまの帯枕が良いと聞き、試してみました。手元にあったへちまで作ってみましたが、うまくいきませんでした。軽くて涼しいのですが、やはりお太鼓の形はかっこよくいきません。市販のへちま帯枕もありますが、余り使っている人はいないようです。ということは余り具合が良くないのかな?背中にぴったりくっついた感じがしないのです。
私のように猫背気味でない人には良いかもしれません。

2-2.後ろ板を入れる

夏帯は柔らかく形が決まりにくいです。従ってお太鼓の裏に後ろ板を入れて形をキープする裏技があります。ですが、絽や紗の帯は透け感が高いので、後ろ板が透けて見えないように注意が必要です。後ろ板を一枚増やすとやはり暑いです。形を決めることと涼感はなかなか両立しませんね。

2-3.改良枕を使う

締めづらい、結びづらい夏帯にはもう降参して、改良枕を使うのも一つの手段です。改良枕は、各着付け教室でオリジナルの物がありますが、市販もされています。Amazonや楽天市場で良さそうな物を探してみましょう。改良枕は先にお太鼓の形を作っておいて、背中に背負い、紐で結ぶので形がキープされたまま崩れません。夏帯には持ってこいです。

3. 夏帯、使わない?

発想を転換します。使いづらい夏帯なら、使わなきゃいいじゃん、って暴論ですが、ちょっとしたお出かけ程度なら、名古屋帯、袋帯いわゆるお太鼓に拘らなくてもいいんじゃないでしょうか?着にくいことは衣類にとって致命的なんです。手間がかかるから、面倒だからとの理由で更に着物離れが進んでしまうのもあながち杞憂とは言えません。そこで考えるに、お高い絽の帯、紗の帯やめちゃいましょ。夏祭りや近くにお出かけ程度なら、半幅帯や兵児帯で十分対応できます。きちんとした正装の場でなければ、半幅帯で結び方のバリエーションを楽しんでしまいましょう。半幅帯でも帯締めをしたり、帯留めを着けたりすれば、お洒落感は損なわれません。十分着物の女子力、上がります。兵児帯は子供用のイメージが強いですが、最近は大人の使用に耐えるものが出ています。柔らかく幅広な兵児帯を逆手に取って、華やかな結び方ができますよ。私は以前婦人科系の手術をした女性に、兵児帯をプレゼントした所、とても楽に結べてお洒落が出来る、と喜ばれました。

夏帯は着物慣れした人にとっても中々の難物ですが、だからこそその美しさは貴重と言えます。手強い夏帯を攻略するには少々の冒険も許される所です。夏こそ自分なりの着物姿を追求できる最適な季節と言えるかもしれません。

魅惑の夏着物、絽と紗

着物は大きく分類して、袷と単衣があります。前回は6月1日の衣替えで、袷から単衣に替えるというお話をしました。今回は7月8月のみ着用する単衣着物、絽と紗についてお話します。

1.夏着物の代表、絽と紗
2.絽って何?
3.紗って何?
4.え?羅もある?
5.絽着物、紗着物の魅力と注意点

1.夏着物の代表、絽と紗

裏地のついた袷着物、裏地の無い単衣着物は単純に言えば、夏物と冬物です。洋服のカテゴリー分けに照らすとそのようになります。単衣着物は夏物ですが、和服には半袖の概念がありません。従って暦の最も暑い時期には単衣の中でも特別に防暑に優れた着物を選ぶことになります。特別防暑に優れた着物として絽と紗(しゃ)が挙げられます。絽、紗とは織り方の名称で絽の着物、紗の訪問着といった使い方をします。年間を通して着物を日常的に着る人でなければ、絽と紗は中々に縁の無いものですが、それだけに貴重な、非日常を味わうことのできる着物です。絽着物と紗着物の特色は、独特の透け感があるというもの。織目に空間があるので、通気性が良く、見た目にも涼しく見えます。織り方はとても繊細で複雑、希少価値があり、一般庶民の着る衣服とは言えませんでした。小物に関しても夏場は絽や紗で織られた物が使用されます。絽の半襟や帯は真夏の必需品となっています。帯揚げ、帯締めも使用する糸の少ないもの、絽や紗で織り上げたものが使われます。こちらは透け感による見た目の涼しさに限定され、実際の涼感は余り無いように思います。和装は全体の調和が最も重要視されるので、絽の着物には絽の帯、絽の帯揚げ帯締めが必須となります。余り着る機会の無い夏着物を小物から一式揃えるのはなかなか大変ですよね。着にくい季節にそれでも敢えて着るわけですから、絽や紗に代表される夏着物は本当の着物好きのための着物だと言えます。

2.絽って何?

そもそも絽って何でしょう?着物に愛着のある人でなければ、一般的には知られてはいないようです。絽とは経糸2本を捩じり、横糸に織り込んでいく布地で、独特の透け感と清涼感を生み出します。捩る経糸の本数が3本であれば、三本絽、5本であれば五本絽と呼びます。七本絽、九本絽などもあります。駒撚り糸(撚り中~強)を使った駒絽、壁糸(撚り強)を使った壁絽などの種類があります。日本では絽は紗の変形として江戸時代から織られるようになりました。僧侶が夏場の法事のとき、着ている薄い袈裟も絽織りですね。いくら絽だ、と言っても長袖、重ね着ですから、暑くないわけじゃありません。

3.紗って何?

紗は絽よりも歴史が古く、平安時代から夏物として着用されていました。紗は「ゴーズ(Gauze)」に当たり、ガーゼの事ですね。薄く透けて見える布をGauzeと呼び、一説では中東パレスチナの地、ガザが語源であるとも言います。ガザがガーゼ(紗)の最初の生産地であるとされています。強い撚り糸を横糸として経糸2本に絡めて織り上げていきます。紗は絽よりも格が高く、夏場の訪問着や小紋に仕立てられます。紗の着物というと着物愛好家にしか認知されていませんが、「紗にかかったような」「紗をかける」という慣用句に残っています。薄い布を一枚かけたような、薄ぼんやりしたようなとの意味で使われていますね。

4.え?羅もある?

羅も夏用の薄物です。主に帯として使われます。羅は網目状の織物でやはりからみ糸で織られます。元々は網を羅と呼んでいました。飛鳥時代から生産されましたが、特殊な機を使うので、徐々に生産量が落ち、応仁の乱で継承が途絶えた、と謂います。その技法は絶えて失われていましたが、1956年、正倉院に残った裂(きれ)用いて復原に成功しました。染織工芸家の喜多川平朗(1898―1988)は「羅」を復原したことによりは、重要無形文化財保持者となっています。日常の衣類というよりも伝統工芸品、芸術品として継承されています。羅の歴史は織物の歴史そのものかもしれません。

5.絽着物、紗着物の魅力と注意点

絽、紗の着物は独特の透け感と、シャリ感が魅力です。シャリ感とは繊維業界のいうちょっとハリのある、ざらっと感じですね。清涼感にも通じる語で肌にまつわりつかないといった意味にもなるようです。透け感があると、構造だけでなく見た目にも涼し気に見えます。相対した方にも清涼感をお裾分けする衣服です。しかしこの透け感には注意が必要。何せ衣服ですから、透けるだけでは用途に叶いません。絽や紗の着物を着る際は、長襦袢の着方に十分注意を払いましょう。余分な皺やずれがあると、外側から見えてしまいます。体のラインもばっちり映ります。私は夏着物を着るときは通常の倍の時間を費やして、長襦袢を身に着けています。単衣着物であっても居敷当て(お尻の部分の重ね布)だけは付けてもらうようにしています。お尻の形に自信無いですから。