小紋

帯のお話

鬼滅の刃、遊郭編がもう最終回を迎えるだなんて!?ひどいです、神さま。上弦の鬼を倒したら、わたくしを4番目の妻にしてくださいませ、天元さま、、、これからはまたしても日曜日の夜が超絶憂鬱な時間帯になってしまいます。月曜なんか来なければいいのに、、、とか
言ってるうちに遊郭編は終わってしまうので、その前に帯のお話をしておきましょう。

1.帯の歴史
2.帯の構造
3.帯の種類
 3-1.丸帯
 3-2.袋帯
 3-3.名古屋帯
 3-4.半幅帯
 3-5.京袋帯・小袋帯
4.鬼滅の帯

1.帯の歴史

日本の帯の歴史は衣類の歴史そのものでした。縄文の時代から人々は貫頭衣を着て、ウェストを紐で縛っています。紐は縛る用途を高め、幅広く織られて帯となります。元は紐であった帯は時代を経るごとに、幅広く豪華になっていきました。縛る紐から締める帯に進化するわけですね。江戸時代の初期まで帯は10㎝程度の幅しかありませんでした。中世に小袖を着た女性が締めていた帯ですね。戦国の世が終わり、平和な時代が続くと、帯は締める役目よりも、飾る役目が大きくなります。体の中心を固定する帯は、装飾性が高まって華美を極め、豪華さは着物を上回るようになりました。多色の糸を使って、豪華な装飾文様を織り出したものを錦と呼び、京都の西陣が代表的な産地として知られています。

2.帯の構造

帯は肩にかけて、お腹に巻いていきますが、肩にかける部分を「手先」、背中で結ぶ部分を「たれ」と呼びます。たれの先端は「たれ先」といって、お太鼓を作ったとき、下でお尻を覆う部分になります。たれ先は端に「界切線(かいきりせん)」があり、織りを留めたラインです。袋帯は界切線から柄が始まり、10㎝ほど上がった位置に「オランダ線」という線があり、お太鼓のサイズを決める目安になります。界切線を見せるように仕立てた帯は関西仕立て、折り込んで隠した仕立ては関東仕立てと呼ばれます。現代は関東仕立てが主流で、後ろ姿に界切線が見えないものがほとんどです。

3.帯の種類

帯は身にまとう着物によって、それぞれ違う種類の物を選びます。重要な要素は「格合わせ」、着物と帯の格を合わせることです。礼装の訪問着には錦の袋帯、普段着の小紋には袋帯よりも格下の名古屋帯、といった感じで合わせます。加えて帯は着物よりも若干格上の物を締めるというルールがあります。帯の格を分かりやすく、配列すると以下のようになります。格合わせの参考にしてください。

丸帯>袋帯>名古屋帯>半幅帯

京帯・小袋帯は半幅帯と同格のようです。帯の柄によっても、格の高いもの、格の低いものがあるので、着物との相性を考えて、ふさわしい帯を選びましょう。

3-1.丸帯

丸帯は江戸時代中期に考案された帯で、現在の袋帯の2倍の幅、長さは4.3m以上あります。70cmもの幅があるので、二つ折りにして体に巻き付けます。つまり裏も表も柄として使えます。全通柄(全てに柄がある)の丸帯となれば、最も豪華な高級品ですね。鬼滅の刃遊郭編では、ときと屋の鯉夏や京極屋の蕨姫(堕姫じゃん)などの花魁さんは丸帯を締めているはずです。戦後は重量があり取扱いが難しいことから、一般的ではなくなりました。花嫁衣裳や舞妓さんの衣装では、現在でも丸帯が使われます。

3-2.袋帯

丸帯の次に格の高い帯です。現代の礼装、留袖、訪問着、付下げ、色無地には袋帯が用いられます。一般的に「帯」というと、袋帯を指す、といってもいいでしょう。袋帯で二重太鼓を結び、黒留袖を着た姿が日本女性の第1礼装です。長さは4.1mから4.5mで仕立てにより変わります。ふくよかな人には長尺仕立てがおすすめですね。振袖にも袋帯が使われ、次々に華麗な飾り結びが考案されています。

3-3.名古屋帯

普段着、小紋や紬に合わせて締める帯です。お洒落感のある柄が多く、好みのものを自由に選べます。手先が半分の幅に仕立てられ、一重太鼓を結んで普段着とします。手先の端だけ半幅に縫ったもの、半幅に縫い合わせずに半分に折って巻くもの(おそめ仕立て)などもあります。名古屋帯の一重太鼓は大正時代に名古屋の女性教員によって発明され、あっという間に普及しました。名古屋帯は袋帯よりも軽く、取扱いが簡単です。一重太鼓が普段着の結び方として、全国的に広まった要因はこの名古屋帯の登場にもあるのでしょう。着物姿というと、小紋に名古屋帯の一重太鼓が一般的なイメージですね。

3-4.半幅帯

幅18cmで簡単に結べる帯です。主に浴衣に使われますが、小紋や紬に合わせることもできます。一般的に子供が締める帯は半幅帯か、へこ帯です。歴史的には庶民の子供は半幅帯で、蝶々結びが多かったようです。だからね、大正時代の炭焼き小屋の女の子、ねづ子ちゃんがお太鼓結びをして、帯締め帯揚げをしたスタイルは時代考証的にはNGなんですけど、、、

3-5.京袋帯・小袋帯

長さは名古屋帯と同じですが、手先は半分に仕立てられておらず、たれと同じ、そのままの幅です。一重太鼓と、蝶結びができるので、名古屋帯と半幅帯の代用ができます。観光地のレンタル着物では小袋帯でかわいらしく飾り結びをする様子が見られます。ネット通販で「お得な着物フルセット」といったセット商品には京袋帯・小袋帯が入っている場合があります。着付け練習に向いていますね。

4.鬼滅の帯

着物1枚に帯3本、とよく言われますが、帯さえしっかりした良い物を締めていれば、ほとんどのコーディネートが思いのままになります。帯は格を表現する重要なアイテムです。この格合わせが着物の難しいポイントなので、初心者は帯と着物のコーディネートを一度詳しい人に相談してみるとよいでしょう。
豪華な帯をきっちりと結んだ姿は、自分には女性の戦闘服に見えます。着付けを教わった先生などは帯の中に重要書類を収納し、必要なときにさっと取り出して、かっこよかったんですよ。
礼装帯は格調高く、洒落帯は帯飾りや根付けを着けて自分流を演出します。親や親族、知人から譲られた着物は、自分のお気に入りの帯を締めると、出動回数が増え、有効活用できますよ。
鬼滅の刃、遊郭編といえば帯!EDで空を飛んでる帯は、あの幅だと丸帯ではないよなー、、、堕姫は花魁だから、お仕事中は丸帯を締めているのでしょうが、戦闘で繰り出す帯幅は丸帯には見えないし。大体丸帯は重いから、EDであんな風に屋根まで飛んだりしないよな、、、あれは帯じゃなくて、反物という理解でいいんでしょうかね?まあ、綺麗だからいいか、、、

浴衣にも夏着物にも、100均の和装小物

忙しくて美容院に行けません。通常営業のショートカットが中途半端に伸び放題。明後日には着物来て出かけなくてはならないのに、どうしましょう?お得な着物伝道師ゆうが駆け込んだのは、美容院ではなくて、百均ショップ、「ダイソー」でした。

1.困った時に助かる、100均の髪飾り
2.結構使える、100均の和装小物
3.100均の和装小物、注意点

1. 困った時に助かる、100均の和装小物

着物を着るときはうなじが綺麗に見えるよう、髪は短くするか、結う、アップにするのが基本です。普段、私は超ショートカットで問題なく、着物を着付けていますが、今月は忙しくて美容院に行けません。着付け教室の予定が入っているので、予約入れるのも間に合わないのです。ゴムで後ろに1束に結んで、すずめのシッポくらいの長さです。何とも中途半端で困ったものです。仕方がないので、自宅近くの百均ショップに向かいました。各100均ショップは、6月あたりから浴衣に使用する和装小物がたくさん販売され、普通の着物でも見劣りしない物が在庫として並んでいます。最近では100均の和装小物を複数購入し、自分でアレンジして成人式など前撮りに使用する人も多くなっています。今回私が買い求めた物は、ダイソーの①「ボリュームウィッグシュシュ」と②「和かんざし」の2点です。

①ボリュームウィッグシュシュ
②和かんざし

①はシュシュタイプの着け毛なので、すずめのシッポ的地毛でも簡単にボリュームアップ、まとめ髪ができました。今回着たのは阿波しじらの単衣着物です。木綿着物は普段着の生活衣類なので、余り襟を主張し過ぎないように、やや下めに結いました。年齢的なことも鑑みつつ、、、浴衣では少し高めの位置かサイドにアップするのが良いかもしれません。ウィッグが首を覆わなくて涼しいですしね。初めてのウィッグシュシュですが、着付け教室の皆さんには好評価をもらえました。100均だと白状すると驚かれました。和装用のウィッグ、和装店で買うととんでもなく高いですもんね。しばらくはこのヘアスタイルで着物着ようか、と。真夏には髪切ります!!

ウィッグシュシュ着けました。帯結びはふくら雀
時間が無くてもササっとできちゃうシュシュウィッグ

➁のガラス製の帯飾りはいくつか在庫がありました。これも浴衣用ですね。とはいえデザインは10代向けだな、、、今後もっと夏感が深まれば、ガラス製のかんざしも入庫するかもしれません。ですがこの和かんざしも気に入って買った物ですから、秋冬に使おうと思います。

2.結構使える、100均の和装小物

私がよく購入する100均の和装小物、一番は扇子です。夏着物に扇子は必需品ですし、デザインはしっかりとした和柄が多くて十分使用に耐えます。夏場の扇子はいくつあっても良い!です。あれ、扇子バッグに入れてたのに、どこに行ったっけ?と迷子になりやすいアイテムなので、できればいくつも持っておきたい物。100均であれば複数購入しても問題無いですし、扇子はうちわと違って複数あってもかさばらないので助かります。最近100均では鬼滅柄の扇子が人気のようですが、炭治郎柄(市松)の扇子ってちょっと暑そう、、、緑と黒は暖色系で、涼感には繋がらないような気がします。水柱の水流柄は涼し気で良いですね。扇子以外では小銭入れを買います。着物バッグには大きな財布は不向きなので、小さながま口に必要なだけの小銭を入れて持ち歩きます。夏祭りには長財布よりも小銭入れが便利です。和柄のマスキングテープはあらゆる面で重宝に使えます。今は和柄のマスク入れ作りに凝っています。使用済みの封筒を切ってマスキングテープで飾り、着物のお仲間に「マスク入れ、使って~」とプレゼント。着付け教室は皆さんは同じ道具を使うことが多いので、自分の持ち物であるという目印に、気に入ったマスキングテープを貼っています。

3.100均の和装小物、注意点

100均の和装小物の注意点は2点あります。一つ目は耐久性が無いこと。和柄の扇子などはひと夏で壊れることもよくあります。破れる、外れるのは仕方のないことと承知した上で使用しましょう。二つ目の注意点はきちんとした場では避けた方が良い、というもの。あくまでも遊びの範囲で身に着ける小物ですね。ちょっとした遊び感覚で購入、使用するからこそ100均の和装小物は楽しいのです。

魅惑の夏着物、絽と紗

着物は大きく分類して、袷と単衣があります。前回は6月1日の衣替えで、袷から単衣に替えるというお話をしました。今回は7月8月のみ着用する単衣着物、絽と紗についてお話します。

1.夏着物の代表、絽と紗
2.絽って何?
3.紗って何?
4.え?羅もある?
5.絽着物、紗着物の魅力と注意点

1.夏着物の代表、絽と紗

裏地のついた袷着物、裏地の無い単衣着物は単純に言えば、夏物と冬物です。洋服のカテゴリー分けに照らすとそのようになります。単衣着物は夏物ですが、和服には半袖の概念がありません。従って暦の最も暑い時期には単衣の中でも特別に防暑に優れた着物を選ぶことになります。特別防暑に優れた着物として絽と紗(しゃ)が挙げられます。絽、紗とは織り方の名称で絽の着物、紗の訪問着といった使い方をします。年間を通して着物を日常的に着る人でなければ、絽と紗は中々に縁の無いものですが、それだけに貴重な、非日常を味わうことのできる着物です。絽着物と紗着物の特色は、独特の透け感があるというもの。織目に空間があるので、通気性が良く、見た目にも涼しく見えます。織り方はとても繊細で複雑、希少価値があり、一般庶民の着る衣服とは言えませんでした。小物に関しても夏場は絽や紗で織られた物が使用されます。絽の半襟や帯は真夏の必需品となっています。帯揚げ、帯締めも使用する糸の少ないもの、絽や紗で織り上げたものが使われます。こちらは透け感による見た目の涼しさに限定され、実際の涼感は余り無いように思います。和装は全体の調和が最も重要視されるので、絽の着物には絽の帯、絽の帯揚げ帯締めが必須となります。余り着る機会の無い夏着物を小物から一式揃えるのはなかなか大変ですよね。着にくい季節にそれでも敢えて着るわけですから、絽や紗に代表される夏着物は本当の着物好きのための着物だと言えます。

2.絽って何?

そもそも絽って何でしょう?着物に愛着のある人でなければ、一般的には知られてはいないようです。絽とは経糸2本を捩じり、横糸に織り込んでいく布地で、独特の透け感と清涼感を生み出します。捩る経糸の本数が3本であれば、三本絽、5本であれば五本絽と呼びます。七本絽、九本絽などもあります。駒撚り糸(撚り中~強)を使った駒絽、壁糸(撚り強)を使った壁絽などの種類があります。日本では絽は紗の変形として江戸時代から織られるようになりました。僧侶が夏場の法事のとき、着ている薄い袈裟も絽織りですね。いくら絽だ、と言っても長袖、重ね着ですから、暑くないわけじゃありません。

3.紗って何?

紗は絽よりも歴史が古く、平安時代から夏物として着用されていました。紗は「ゴーズ(Gauze)」に当たり、ガーゼの事ですね。薄く透けて見える布をGauzeと呼び、一説では中東パレスチナの地、ガザが語源であるとも言います。ガザがガーゼ(紗)の最初の生産地であるとされています。強い撚り糸を横糸として経糸2本に絡めて織り上げていきます。紗は絽よりも格が高く、夏場の訪問着や小紋に仕立てられます。紗の着物というと着物愛好家にしか認知されていませんが、「紗にかかったような」「紗をかける」という慣用句に残っています。薄い布を一枚かけたような、薄ぼんやりしたようなとの意味で使われていますね。

4.え?羅もある?

羅も夏用の薄物です。主に帯として使われます。羅は網目状の織物でやはりからみ糸で織られます。元々は網を羅と呼んでいました。飛鳥時代から生産されましたが、特殊な機を使うので、徐々に生産量が落ち、応仁の乱で継承が途絶えた、と謂います。その技法は絶えて失われていましたが、1956年、正倉院に残った裂(きれ)用いて復原に成功しました。染織工芸家の喜多川平朗(1898―1988)は「羅」を復原したことによりは、重要無形文化財保持者となっています。日常の衣類というよりも伝統工芸品、芸術品として継承されています。羅の歴史は織物の歴史そのものかもしれません。

5.絽着物、紗着物の魅力と注意点

絽、紗の着物は独特の透け感と、シャリ感が魅力です。シャリ感とは繊維業界のいうちょっとハリのある、ざらっと感じですね。清涼感にも通じる語で肌にまつわりつかないといった意味にもなるようです。透け感があると、構造だけでなく見た目にも涼し気に見えます。相対した方にも清涼感をお裾分けする衣服です。しかしこの透け感には注意が必要。何せ衣服ですから、透けるだけでは用途に叶いません。絽や紗の着物を着る際は、長襦袢の着方に十分注意を払いましょう。余分な皺やずれがあると、外側から見えてしまいます。体のラインもばっちり映ります。私は夏着物を着るときは通常の倍の時間を費やして、長襦袢を身に着けています。単衣着物であっても居敷当て(お尻の部分の重ね布)だけは付けてもらうようにしています。お尻の形に自信無いですから。

それでも桜咲く!入学式に着る着物

着付け教室「きらら」のアシスタントゆうです。
コロナウィルスによる脅威、緊急事態宣言が発令されています。3月21日以降緊急事態宣言は解除になるようですが、新年度4月からの状態がどのようなものかまだまだ予測のつかない現状です。
4月の入学式は各地域、各学校により判断基準が分かれ、自分の地域がどのような形態で挙行されるのか、されないのか現時点では全く判りません。同地域でも各学校により入学式の扱いは異なる為、「隣の学校は保護者出席ありなのに、こちらの学校では出席できない」と
いた現象が起きています。
1日も早くはっきりさせてほしい、が保護者の本音と思われます。世界中がコロナに翻弄され一年以上が過ぎました。
今年の入学式、何着よう?保護者出席ありかしら?そもそも入学式あるの?とやきもきしている保護者の方も多いと思われます。

だからこそおすすめします。着物で撮る写真入学式!

自分で着る着物であれば、入学式の形態がどのようなものであれ、自分と子供さんの都合の良い日を選んで写真館に予約ができます。既に子供の制服は用意ができているはずですから、お父さんや兄弟児を誘って家庭内入学式の出来上がりです。
わが家は子供の成長の節目ごとに写真館で記念写真を撮っています。仕事の都合で入学式のあと写真館に行けないときは、後日着物を着て写真を撮ってもらいました。自分が着物を着る人間でなければそんな面倒なことはしていないと思います。
入学式は子供が新しい世界に飛び立つ記念の日、晴れがましい装いで送り出したいものです。

1.入学式に着る着物

入学式に着る着物は礼装です。礼装と言えば付下げ、色無地など挙げられますが、一番のおすすめは訪問着です。入学式は卒業式と違い、春の暖かい陽光の下、華やかに晴れやかに開催される行事です。春物スーツで出席するように、明るい色目の訪問着、できれば花柄や吉祥柄を選んで出席したいですね。

入学式に着る着物 

訪問着>付下げ>色無地(明るい色)※>はおすすめ度もしくは格順
袋帯→二重太鼓、できれば金糸入り
帯締め→平組
帯揚げ→礼装用でなくてもOK

入学式の装いは淡色の明るい訪問着に袋帯で二重太鼓、平組の帯締めで臨んで下さい。淡色の付下げや一つ紋の入った色無地も素敵です。
訪問着ってどんな着物だっけ?と思ったらば、こちらへどうぞ。

2.入学式のルールとNG

入学式に和服を着る場合、小紋、名古屋帯、お太鼓柄の袋帯、帯留はNGです。
豪華な小紋であれば許容範囲という意見もありますが格のルールは守るに越したことはありません。
着物には格のルールがあります。
格の高い着物には格の高い帯を合わせます。入学式は冠婚葬祭ですから、格の高い着物と同等もしくはそれ以上格の高い帯で参列します。格違いをすると恥ずかしい思いをしますよ。

小紋はお洒落着、普段着です。小紋を着る場合、締める帯も名古屋帯が基本なので、冠婚葬祭では不向きです。卒業式とは反対に入学式は華やかさが求められますから、誰もが一番気に入っている着物を着たいのが人情です。最近では華やかさゆえに淡色、花柄の小紋で入学式に参加する保護者が見られますが、格式で言えばNGです。小紋は着物全体に柄が散りばめてあるので、視線がうようよしがちです。訪問着は豪華な柄付きですが、柄は上から下への続き柄なので、落着いた印象になります。

名古屋帯はお洒落着であり礼装用ではないので、基本的にNGです。吉祥柄であれば名古屋帯もありとの意見もありますが、袋帯の二重太鼓には「良いことが重ねがさね」という意味があるのでやはりここは袋帯が良いと思います。お太鼓柄の袋帯はお洒落着なので小紋に合わせる場合は問題ありませんが、冠婚葬祭の装いにはなり得ません。

<見れば一目瞭然、礼装用袋帯とお太鼓柄袋帯>

礼装用袋帯
お太鼓柄袋帯

豪華めに見える花柄の小紋に金糸の袋帯を合わせて、入学式に使えるかコーデしてみましたが、やはり帯が浮いた感じがしました。

これは無いだろ、というのが帯留めを使用している場合です。現在の帯留めは純然たるアクセサリーで冠婚葬祭では用いません。幕末から花柳界で流行し西欧のブローチを模して作られた、と謂います。
確かに帯留めは楽しい!私もイベントで購入したものや自作したものなど、いくつかコレクションしています。思い出深い品ばかりで人に見せたい、気持ちは確かに判ります。でも、、、使えないのよ、入学式では!なぜ?どうして?結構高かったのに?ここまで読んだ方はわかりますよね?
帯留はお洒落具だからなのー!!
冠婚葬祭で帯留は使えないのー!!
でもたまーにいます。素敵な訪問着に帯留して式に出ている人。帯留を使う場合、紐を通す為に細い帯締め、三分紐を締めなくてはなりません。三分紐は細過ぎて礼装用の重い帯を固定するには無理があります。入学式の帯留は格の違いと実用性、二方向からNGとなってしまいます。礼装用の帯と同格の帯留もあり得ませんしね。帯留は遊び感覚の強い装身具ですから、私は着付けのお稽古ですら身につけてはいません。教えを乞う先生に失礼にあたるのでは、と考えるからです。その分プライベートで出かける時は気に入った物、季節や目的に合った帯留を着けて悦に至ります。(( ̄― ̄)ニヤリ

3.悪天候、入学式の強者

私の住む地域、入学式の時期は天気が悪いことが多く、予定が近くなると天気予報を見ては、やきもきします。着物の場合、雨コートや雨草履も用意しなくてはなりません。ほんの少しの水分でも着物には天敵です。私は車を運転して学校へ行くので草履着用は校内のみ、校外や運転中はサンダルやペタン靴で、と割り切って防水に徹しました。
その年の入学式は数日前から天気が悪く、学校の敷地は目一杯ぬかるんでいました。なるべく外を歩かずにすむように、体育館に最も近い位置に車を停めます。着物の裾をからげて帯に挟み、紐で縛ってその上から雨コートを羽織り、体育館のトイレで個室に籠って裾をバサバサ戻していました。
うちの子の学年は比較的着物好きが多く、毎回同じメンバーが和服で参加していました。田舎ですから入卒式はほとんど面子が変わりません。いつしかお着物クラブみたいなグループが出来上がっていました。(笑)みんな仲良く会場で写真を撮ったり、着物にまつわる意見交換をしたりしています。
中には4人兄弟を育てあげ全ての入卒式を着物で完遂した、強者ママさんがいました。私たちはその方を着物番長と呼んで、ご尊敬申し上げています。
その日の着物番長さま、ちょっと遅めの会場入りでした。我らお着物クラブの面々を見つけると彼女は開口一番、
「聞いてちょうだい!あたし今日軽トラなの!!」
「「「「「ええー???マジでー???」」」」」
着物で運転することさえ嫌がる人が多いのに、軽トラで、訪問着で、入学式ってすご過ぎでしょ。軽トラックのステップの高さ、知る人しか知りませんが、よじのぼる位高いんですよ!(イメージ的に)一体どんな体勢で降車したのか、皆目わかりません。
しかもぬかるんだ学校内のグランドを横切って、彼女は入学式会場に颯爽と現れたのでした。自分の車を旦那が乗っていった!と憤慨していましたが、着ていたお着物には水染み一つありません。悪天候時の着物の所作に慣れてらっしゃるのだと思います。
すごい、すごいよ番長!あなたこそ着物の強者!

悪条件でも臆さずに着物を着る、それこそが着物番長、和服の強者です。

TPOを楽しもう!留袖から小紋まで目的別着物6種

「着物は決め事が多くて面倒くさい」との意見を耳にします。

確かにそうかもしれません。着物は○○でなければならない、とのルールが多いのです。ですがその多くは冠婚葬祭、礼装に関することで、普段着、カジュアルな着物にはそれほど面倒なルールはありません。最近ではカジュアル着物を自分なりにアレンジして自由にお洒落を楽しんでいる着物女子をよく見かけます。

ですが、日本の着物が今日まで生きているのは、厳格と言ってもよいほどの、ルールによる所が大きいと私は考えます。

着物における厳格な取り決め、守るべきルールが無ければ着物は既に日本の国土から消えているでしょう。その最たるものが留袖です。留袖が日本女性の第1礼装である、という取り決めがなければ現在結婚式で着る人はいない筈ですから。

逆の発想をしてみます。「来春、甥っ子の結婚式何着よう?招待客じゃなくて親族だし?洋服?靴、ヒールの高さは?バッグはエナメル?一体何をどう着ようかと考えていると衣裳ドツボにはまりますよ。

冠婚葬祭について、きちんとルールが決められている方が楽じゃないですか?

着物を目的別に分類し、TPOに即したルールを復習してみます。

1.フォーマルな着物

1-1 留袖 ミセスの第1礼装
1-2 色無地 これさえあれば憂い無し
1-3 訪問着と付下げ、格付け+お洒落感を満喫

2.カジュアルな着物

2-1小紋 着物の神髄を味わう
2-2紬  伝統技術を身に纏う
2-3 浴衣 みんな大好き!夏の着物

1.フォーマルな着物

1-1.留袖 ミセスの第1礼装

フォーマル着物の筆頭は既婚女性の第1礼装、留袖です。
留袖とは洋服で言う所のイブニングドレスに相当し、最も格の高い衣裳です。現在の留袖とは着物の裾部分に絵羽模様(上下続き柄)が入り、五つ紋(胸紋、袖紋、背紋)が入っているものを指します。黒地に絵羽模様の着物を黒留袖、色地に絵羽模様の着物を色留袖と呼びます。明治17年に「礼服は縮緬か羽二重、黒または色物、五つ紋付き、裾模様に白羽二重の重ね」との法令が出されました。以来、神式、キリスト教式を問わず、結婚式では新郎新婦の母、親族の既婚女性は黒留袖を着用するものとなっています。
近世より女性は既婚または一定の年齢を過ぎると振袖の丈を短く留める、という習慣がありました。古神道では袖には呪力があり、思いや念が籠もるものとされています。万葉集などの古典には袖にまつわる表現が多く出てきますが、
「袖振る」(大好きー、な感じ)
「袖を濡らす」(グスン、悲しいよー、な感じ)
「袖を絞る」(もう大号泣―!な感じ)
いずれも恋愛や涙に纏わる言葉ですね。袖を留める、とは少女時代の自分と決別する、過去の未練をここで押し留めるという意味があるようです。(“断つ”という言葉は縁起が良くないので“留める”)
結婚式には黒留袖、というのは厳格な着物のルールですが、袖を留めて次のステージにかけあがる日本女性の姿は、潔くかっこいい生き様じゃないですか。

1-2 色無地 これさえあれば憂い無し

生涯で最も着る機会が多い礼装が色無地です。色無地とは地紋のある白生地を一色で染めたものを指します。家紋入りであればお宮参り、入学式、卒業式、お茶会にも着用できます。日本人の色彩感覚は恐るべきもので、伝統色の色数は無限です。
私は浅茅色の色無地に金糸の袋帯で同僚の結婚式に出席し、同じ着物に黒帯を合わせて法事にも着用しました。
絵柄の無い単色の着物は華美に走らず、格を保ち、落ち着いた印象を与えます。
インターネットで紺絽の色無地を購入し、背に一つ紋を入れて夏の礼服にしました。夏用ですからポリエステル、洗える着物でございますよ。夏場は洗える着物推奨な私。母の法事にポリエステルの色無地を着て参列した所、お寺の奥様が「あら、いい着物じゃない、え?化繊(ポリエステル)なの?」と言われたのでOKなのだと思います。ポリだけど紋付、高い素材にすればいいってものでもありません。(正絹の方が涼しいけどね)
紋が一つ入っているだけで、色無地の着用範囲はかなり広がります。
ありがたや、色無地!強い味方、色無地!
色無地は紋付でなければ礼装にはなりません。これも着物のルールです。

1-3.訪問着と付下げ 格付け+お洒落感を満喫


訪問着とは華やかな全体柄で留袖の次に位置する着物です。呉服店で着物を誂えると一番に訪問着を薦められることと思います。だって高級だから。親族以外の結婚式、入学式、パーティーなどに適しています。訪問着に紋を入れると格が上がり、着用範囲が限定されるので、紋を入れない場合が多いようです。紋に拘らないのであれば訪問着一着あれば冠婚葬祭からちょっとしたお呼ばれまで、難なくこなすことができますよ。飾り気の無い色無地よりも訪問着の方が人気は高いですしね。しかし私、訪問着は余り好まないのです。理由は豪華に見え過ぎるから。冠婚葬祭は着物の品評会じゃないのだから、豪奢であれば良いとは限りません。その場と自分の立ち位置に合った着物を選ぶべきと考えます。個人的に訪問着の派手さに自分の顔が追いつかないだけかもww
私が好んで着るものは訪問着よりも付下げだったりします。付下げは反物の状態で柄付けするので、左胸と裾部分にしか柄がありません。ワンポイントみたいなイメージですね。訪問着より少し格は下がりますが、派手過ぎない柄付きはさりげない美しさがあります。私が大学の卒業式に袴と一緒に着ていたのも付下げでした。(当時は着物のことを何も知らなかったので、母に無理やり着せられた)柄が少ないので基本的に付下げは訪問着の半分のお値段です。(例外あり)だからこそ売る側は付下げよりも訪問着を全力でおすすめするわけです。お店では「いやあ、最近、付下げはほとんど無いですよ。訪問着なら良い物がたくさんあります。こちらなどいかがでしょう?」と言われました。だって仕方ないじゃん、私は付下げが好きなんだもん。訪問着と付下げ、格はほとんど変わりませんから、あとは好き好きですよね。ならばこそ、私は訪問着よりもお得な着物、付下げ推しです。

私が子供の入学式で着ていた付下げ、実はB反品でした。

2.カジュアルな着物

 2-1.小紋 着物の神髄を味わう

小紋とは全体的に柄付きがある着物、繰り返し同じ模様を染めた着物を指します。お洒落着の筆頭と言えば小紋で決まりです。観劇や街歩きなど、要するに普段着として楽しく着られる着物です。観光地でレンタル着物として提供されているのは小紋ですね。本当の着物好きとは小紋好きな人でしょう。小紋こそ個人の趣味が大きく反映される着物だと思います。初めて着物を着る人はやはり小紋に袖を通すことになります。ネット販売でとてもお得な着物セットというと、小紋と名古屋帯、帯締め、帯揚げなどがひとまとめになっています。ポリエステルが多いと思いますが、こうした小紋セットは着付けの練習用に最適です。あまり深く考えず、自分のセンスで着たい!と思うものを選びましょう。

2-2.紬 伝統技術を身に纏う

も楽しいカジュアル着物です。紬糸を織り上げしっかりとした布地になるので、着付けると線がバチっと決まります。紬とは先に染色した糸を織り上げる着物なので、(他の着物は白反物に染色し柄を描く)織り上げていく行程で幾何学的な模様が浮かび上がります。想像できます?柄を出す為に全ての糸を計算して染めていくんですよ。Amazing!職人芸と一言では表現しきれない神業が連綿と伝えられているのです。日本各地に伝わる独特な紬は伝統技術の極みに達しているでしょう。こうした織物は女性が考案した物が多いそうです。紬は普段着ですから、「少しでも綺麗なものを着て、日常を過ごしたい!」という女性たちの切望が生み出した衣類なのでしょう。普段着として編み出された紬は今では芸術作品として昇華しています。大島紬、結城紬、小千谷紬など優れた紬は古から続く地元女性の心を映すもの、彼女ら何をを思い杼をさしていったのか、優れた紬を見ると産地を訪れてみたくなります。

2-3.浴衣 みんな大好き!夏の着物

現代人がもっとも親しみのあるカジュアル着物、それが浴衣でしょう。老若男女、みんな浴衣が大好きです。浴衣は洋服で例えるとGパンくらいの格付け、と言われますが、現在はお洒落着という位置付けでよいと思います。Gパンより全然かわいいじゃん、てことで。江戸城大奥で将軍さまがお風呂から上がると、手ぬぐいといった物は使いません。一枚一枚浴衣を着せ、水分を取り除くんですって。なんて無駄、いや贅沢な。女官たちはその浴衣を頂き、大事に国元へ持ち帰るのだそうです。お風呂で着る着物だから浴衣となります。元々は下着感覚だったのでしょう。高温多湿の日本で浴衣は実にありがたい衣服です。夏祭りや花火だけでなく、昼間のお出かけにも浴衣を着て行きましょうよ。
浴衣は誰でもすぐに着られるようになる着物です。以前高校生に自宅で浴衣を着せていた時、「見てればすぐに覚えられるよー」と言いました。そしたらば、女子高生4人揃ってガン見!!です。熱い視線を感じながら一人ひとり着せていくと「ゆうさん、次わたしにやらせてください」とか「一人で着てみたいです」と嬉しい言葉が聞こえてきました。次の夏まつりには自分で浴衣を着る姿が見られるかもしれません。浴衣が着物を未来へ継承するきっかけになれば、と思います。