ご両親、義両親、親戚、知人から着物を受け継ぐ
こんにちは。佐渡島の着付け教室「きらら教室」アシスタントのゆうです。着物は高い!というイメージが一般的です。まずはこの固定観念を吹っ飛ばす所から始めます。
着物をお得に着る方法その1です。
販売店で着物を誂える理由は何か?当然着物が必要になったからに決まっています。着物が必要になった時、まず思い出してほしいのが、
「着物は継承する衣類」だということです。
呉服店へ行くと、たとえ購入の目的が帯一本だけだったとしても、
「この帯にはこちらのお着物でしょう、小物はこちらのセットをお付けします。今なら長襦袢もこちらのお着物と合わせたものを勉強させて頂きますよ」
などなど、一体何を買いに来たのか分からなくなってしまいます。こうした合わせ商法が問題になり、最近は呉服店そのものを拒否する人が増えてしまいました。着物離れが深刻化し、販売店も近年は方向転換をしているようですが、一度ついてしまった着物は高い!というイメージは簡単に払拭されるものではありません。
着物、買わなきゃいけませんか?
結婚式にお呼ばれして着物が必要になったら、どうしても販売店で誂えなくてはいけないのでしょうか?私は親が仕立て屋をしていたので、実家には大量の着物がありました。別に裕福だったわけではありません。母は不要になった着物を顧客から引き取り、自分の寸法に直して保管していたのです。着物に関して実家が特殊な環境であったことは認めますが、どこのお宅にも箪笥にしまわれた着物の一枚、二枚眠っているのではないですか?
着物は継承する衣類です。
そうして長く保管されてきた着物は、主に晴れ着、特別な時に着る衣服ですよね。晴れ着として正絹で丁寧に織られた着物は3代もつ、と謂われています。一人の女性が20歳の時、50万で誂えた着物があったとします。30歳で子供に恵まれその子が20歳になり、自分の着物を着せました。娘さんも30歳で孫を産んでくれたので成人式でその着物を着ます。60年以上使用に耐える衣類が高いと言えるでしょうか?
着物の古典柄も花柄も流行に左右されることはほとんどありません。
実家の箪笥に眠っていた着物が家紋入りであればラッキーです。冠婚葬祭で発注しなくていいじゃないですか。女性は実家の紋をつけるのが本筋と謂われています。(地域差あります)新しい年が明けるとテレビで全国の成人式会場が中継されますが、
「おばあちゃんの着物を着てきました!」
と嬉しそうに話す新成人は本当にきらきら輝いて見えます。
着物は販売店で買わないのも選択肢の一つです。
着物が必要になったら、まず実家の箪笥を開けてみましょう!私は主に母の着物を受け継ぎましたが、私と母は背格好が良く似ていて、身長も大きな差がありません。多少の寸法の違いは着付けの腕や小物の活用でカバーします。体に巻き付ける形の日本の着物は体形の変化に柔軟に対応してくれます。(限度はありますが)子供の着物は肩の部分に“上げ”が取ってあり、成長しても着られるように作られています。長く着る、これこそが日本の着物の本領です。着物は長く着ることを想定して作られているので、事あるごとに誂える必要など無いのです。
受け継いだ着物だけでは満足できない、自分の個性を発揮したい!と考える人は小物に凝るという方法があります。自分好みの帯揚げや帯締めを見つけて、コーディーネートしていけば、受け継いだ着物は自分の着物となっていきます。頂いた物を組み合わせて自分好みのスタイルを追求する、素晴らしい着物術です。
実家には着物が無い、親も持っていないという人もいるでしょう。不思議な現象ですが、私が着物を着る人間だと知れ渡ると、あちこちから着物が集まってくるのです。
「着物、着ないからもらってほしい」
「管理の仕方が判らないから、あげる」
「じゃまだから」
畳むと2㎝に満たない着物が邪魔になる理由が判りませんが、私は全てありがたく頂戴します。
蚕さんが命がけで吐き出してくれた糸を、織師さん精魂込めて織り、染師さんが美しい柄をつけて、仕立て屋さんが一針一針縫ってくれたこの世でたった一枚の着物です。受け継ぐことを前提に作られた着物です。手放すことなぞ到底出来ません。世界に目を向けると、多くの国で民族衣裳は継承することを前提に作られています。
もちろん衣類は個人の趣味嗜好の問題ですから、高くても自分だけの着物を誂えたいという人もいるでしょう。そうした人は自分が誂えた着物の未来を思い描いて、購入してほしいと思うのです。娘や嫁、孫娘が自分の愛した着物を受け継ぎ、着続けることは幸せが絶えない証に思えます。
50年先も100年先もこの国で着物に袖を通す人が絶えませぬように。